気になる理由
『百舌谷さん逆上する』という漫画があるのだけれど、これは完治しない病気を抱えたヒロインが、困難な病気に苦しめられている友人の弟を助けようとする話で、あるいは男ふたりが百舌谷さんをなんとか助けたいと奮闘する、そんな傾きもある話で、私はその誰かを助けたいと思う彼彼女らに感情を過剰に移入しながら読んでいます。
それはなんでだろうと思ったら、昔のことがあるのかも知れません。こないだから書いてる、昔好きだった女性のこと。その人が難病だったんです。難病だったから好きになったわけじゃない。好きになってから、知らされた。それは完治しないタイプのもので、悪化しないよう、寛解状態を維持すべく生活をコントロールしていく必要があって、彼女の一種独特の儚げな雰囲気は、その病気があったためかも知れないなと、知らされてから思いました。
病気のことを知らされて、それは私に諦めさせるための策だったのかも知れないのだけれども、あれは辛かった。自分のことじゃない、それだけに辛いってことがあるんだなって思った。私は医者でもなんでもないから、本当になにもできなかったのだけれども、図書館いったり、ネット(といっても、インターネットとパソコン通信が半々。そんな時代の話です)でいろいろ調べたりして、なんとかしたいという気持ちだけはあるのだけれども、なんともできないというその無力感に絶望した。
『百舌谷さん』の少年たちは、結局は無力で非力であるのだけれども、そうした絶望をもしかしたら味わわされるのかも知れないけれど、でもそうした気持ちがわかるからこそ、ひかれてやまないのかもなあ、なんて思います。
しかし、こうして人を心配して、はじめて心配されるということのありがたみがわかったようにも思います。私も、人のことどうこういえるほど頑丈ではないから、奇病難病いろいろやらかしてきたから、まあ命に関わらないし、治ったものも多いし、虚弱なだけで健康ではあるんだけど、その節目節目で親姉妹が思ったこと、そのもろもろに感謝しましたね。小学校の一年の冬だったんですが、両手指が腫れまして、最初しもやけかと思ってたんだけど、なんか骨がどうとかいう病気で、切り落とすってとこまでいきそうだったんだけど、幸いなんとかなって、今もちゃんとつながっています。そんなことが何度もあった。親には迷惑かけたなあ。なんて思う。そして、その度々に心配してもらったこと。そのありがたみは、やっぱり誰かを本気で心配して、それこそ代われるものなら代わりたいと思うほどに心を砕いて、はじめて本当に理解できるように思ったんですね。
ちょっとした昔話でした。『百舌谷さん』は面白いので、よかったら買って読んでください。
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